保育理念

かおう保育園について

主体的に生き抜く力を育む

保育基本方針

かおう保育園では、子どもが子どもとして生きて、自分が感じたこと、思ったことをかたちに成して表現する造形表現は、子ども自らが生み出す子ども文化として大事にしなければならないと考えます。
そのために大人は、子どもが感じたこと、感性をしっかりと受けとめる準備が必要です。
子どもたちは、自分の表現に共感してもらえることによって、新たな感情が沸き、表現を多様に深めていきます。
大人が美しいと感じたものを教えこまず、子どもたちに共感し、寄添、支援・指導していくことで子ども一人ひとりの感性にとって何が適しているのかを常に考えながら保育に取りくんでいます。

感性を育むセンスオブワンダーとは

感性を育む
センス・オブ・ワンダー

子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激にみちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。
-中略-
わたしは、子どもにとっても、どのようにして子どもを教育すべきか頭をなやませている親にとっても、
「知る」ことは「感じる」ことの半分も重要ではないと固く信じています。
子どもたちがであう事実のひとつひとつが、やがて知識や知恵を生みだす種子だとしたら、さまざまな情緒やゆたかな感受性は、この種子をはぐくむ肥沃な土壌です。幼い子ども時代は、この土壌を耕すときです……。

海洋生物学者レイチェル・カーソンの著書
「センス・オブ・ワンダー」より

アメリカの生物学者・レイチェル・カーソンの著書『センス・オブ・ワンダー』に書かれている一文です。

具体的には、自然に抱かれる体験は、五感を全開で機能させて自然の中にある、色、形、音、匂いを感じ取って、子どもたちにとって不思議だという感覚を目覚めさせます。そうして豊かな感受性(感じること)が土壌となって、出会う事実(知ること)の一つひとつが種子となって大きく芽吹くことになります。
まずは、 感じること、土壌をつくることが大事です。昼間の太陽や光、熱 、そして夜間の月や星、闇等はいうにおよばず、空気、影、温度 、湿度、動植物の命などとの感動的な出会いが豊かな土壌をつく ります。そして、水、砂、土、粘土、木、石などとの遊び、火の体験などの自然素材と関わっての遊びも豊かな土壌つくり、創造的な遊びから獲得す“知”は種子となります。

センス・オブ・ワンダー表紙-
教育保育理念感性を育むセンス・オブ・ワンダー
好奇心の発揮-感覚総体としてのリアリズム-について

知性を育むリアリズム

子どもたちが生き生きとした創造性あふれる遊び=造形活動や絵の制作にとる組むために、まず自然に目を向けて、外界を刺激として感じる機能〈眼(視覚)、耳(聴覚)、皮膚(触覚)、鼻(嗅覚)、舌(味覚)〉の五感の働きが大事です。大人はそれぞれ機能が独立して働いており、視覚を働かせればものや出来事を認識できます。
しかし、子どもたちは5つの機能が合わさって、ものや出来事を認識していきます。5つの感覚が総体となって働くのです。見て、聴いて、触って、匂いを嗅いで、舐めて、ものを認識していくのです。子どもたちは、このような感覚総体としてのリアリズムで生きて、9歳前後になると、大人のように、それぞれの機能が独立して働くようになります。
それにあわせるように、9歳までに、私たち人間の根幹を成す感情をつくりあげます。

知性を育むリアリズム
知性を育むリアリズム
脳の回路を開く~造形活動

ともに育ちあい社会性を育む

水、砂、土、粘土、木、石などの自然素材は、無限の可能性を秘めています。自然素材との関わりは、様々な遊びを子どもたち自らが発見し、拡げ、深めて発展させていきます。このような子どもたちの自然素材との遊び=造形活動の中には、石を円形に積み上げていく遊びなどは、人類が竈をつくりあげて生活してきたことを思い出させてくれる遊びです。
子どもたちも、遊びを発見し、拡げ、深めて自分なりに自信をもてば、友達に語りかけ、共に遊び合い、より創意工夫に満ちた大きな遊びを展開していきます。ともに育ちあい、人間関係を構築する力、社会性を身に着けていきます。
こうした自然に抱かれる体験、自然素材による子供たちの遊び=造形活動は、長い歴史のなかで人間が手に入れたものに、今、生きる子供たちが自分なりにフィットさせて、独自の楽しい世界を展開します。

ホンモノ体験四季をとおした自然体験春のどろんこ
創造性を育む豊かな原体験

独創性の塊といえる子どもたちに創造性を

現代の子どもたちが描く絵の特徴として、消費文化や情報メディアなどの影響を受けた概念的なイメージで描いた絵が多くみられます。それは、独創性の塊ともいえる子どもたちが創造性を失っているとも言えます。原因の一つとして子どもたちが育つ現代では、原体験が欠けているからではないのかと考えています。
こういったことから「豊かな原体験を子どもたちに」との思で、自然体験、自然素材との遊び=造形活動に取り組むことを、保育の柱にしました。
現代の子どもたちの実態に目を向け、子どもが主体となって取り組む自然体験、自然素材との遊び=造形活動を重視し、その体験を生かす絵の制作等、造形表現を深める実例を積み重ねてきました。
便利で豊かな生活が、子どもたちの成長に必要な今の生活に至るプロセス体験を奪い、テレビ・スマートフォンなどによるバーチャルリアリティの世界は、子どもたちから主体的なイメージをも奪っています。
そんな現代の生活の中で、生きる子どもたちが相集う保育園には、原体験を重視する新しい役割が求められています。

想像力を育む美術活動への取り組み

想像力を育む美術活動

子どもの絵について

子どもたちは語彙も少なく、文字も持ち合わせていません。長い歴史のなかで文字を獲得した人類と同じように、まさに絵的思考の中で生きています。ですから、子どもたちは、日常で起こった出来事や、遊びの中で感じたことを絵で伝えようと自ら本能的に絵を描きます。文字や言葉ではまだ伝えられないことを、内面から湧き出る感情、思いなどを直感的に絵に描き込んでいきます。
また、その子どもが認識している生活、社会、自然などはいうにおよばず、個性や性格までもが表されています。

子どもの自由画と色彩感覚について

私たちは、創意工夫によって、独自の表現として生み出す絵をもとに、絵的思考の中で生きる子どもたちの育ちと心を読みとり、子どもそのものを深く理解できるように研究を重ねています。
自由画では、①テーマを与えない、②技術指導はしない、③見守り寄り添い認めて励ます、この3つを原則としています。子どもが描きたいときに描きたいように、子ども自らテーマを決め、自由に色彩を用いて、独自の表現として生み出していきます。
子どもたちの独自の表現=自由画は、生きる喜びの証として、心と育ちを語り、絵的思考を深め、豊かな感情を育みます。
子どもたちの自由画は豊かな色彩に溢れています。幼児期の色彩感覚は“絶対色感”と呼ぶに相応しく私たち大人よりも優れています。

人間力を育む保育子どもが生み出す自由画
まちかどミュージアム
社会性を育む共に学び合い、群れて遊ぶ姿を大切にします

社会性を育み共に学ぶ

社会性を育み共に学び合い、群れて遊ぶ姿を大切にします。
大人も子どもも、共に生活する仲間としての関係を大切にしています。
その中で、お互いがぶつかり合い、助け合い、時には回り道をしながら相手との信頼関係を結んでいます。
様々な年齢の子ども集団は、自分たちの手でいろいろなルールや子どもなりのモラルを生み出し、さらによりよい集団を作っていきます。このことは人間社会のなかで生きていく基礎の力、豊かで望ましい人間関係を構築していく力となります。
群れて共に育ち合い、人間関係を構築する力、社会性を自らが培うのです。
乳幼児の育ちにとって、創造性(意欲)と社会性(人間関係構築能力)はいつの時代にも求められる不易のことです。
自らの力で遊びを発見し、拡げ、深めて、友達同士で豊かな自然体験や生活体験を重ねれば、表裏一体のものとして創造性と社会性を身に付けていくことができます。

まいにちが発見・感動の連続

かおう保育園保育の特徴

豊かな自然環境のなかで
豊かな情操を育みます

日々の自然に抱かれる体験は、五感を全開で機能させて自然の中にある、色、形、音、匂いを感じ取って、子どもたちにとって「不思議だなぁ」という感覚を目覚めさせます。そうした豊かな感受性が土壌となり、新しく知ること一つひとつが種子となって大きく芽吹くことになります。
私たち大人は、美しいものや、心を動かす出来事に触れ、内面から湧き出る感情や思いなどを、子どもたち自ら表現できるよう手助けをしていきます。
そして表現する喜びを、より拡げ深めていけるよう見守ります。
大人が美しいと感じたものを教えこまず、子どもたちに共感し、寄添、支援・指導していくことで子ども一人ひとりの感性にとって何が適しているのかを常に考えながら保育に取り組んでいます。

美しい自然と地域に抱かれ体験を通して豊かな情操を育みます

環境による保育

子どもは、人類の歴史を追体験して成長していくという捉え方から“子どもは小さな原始人”と例えられます。それは、子どもたちの表現はまさに人類が獲得してきた様々な表現方法を駆使していると考えられるからです。こうした五感のすべてを使う感覚総体のリアリズムとして絵的思考で生きる子どもたちに対応した子ども主体の保育姿勢を求めています。

子どもたちが創造性を育む豊かな原体験を十分に生ききり、子ども自ら生み出す子ども文化として、造形表現を大事にしてきました。
レイチェル・カーソンの著書『センス・オブ・ワンダー』にも記されている、子どもたちが不思議だと思う身体的感覚を大事にして、自然が溢れる園庭づくり、自然の中に出かける散歩や園外保育などにも積極的に取り組んでいます。

そして、園庭には自然素材(水・砂・土・粘土・木・石・動植物等)を十分に準備し、子どもたちが遊びを発見し、拡げ、深め、共に遊び育ち合うよう心がけています。

また、それらの遊び=造形活動を「行為による造形活動」「状態による造形活動」「配置・配列による造形活動」「構成による造形活動」「場の活動にによる造形活動」の5つに分類し、表出、表現される遊び=造形活動の痕跡をすべて造形作品として捉えます。
保育士たちは、子どもはこうあって欲しいという子ども像を持たずに、子どもたち一人ひとりをよく観て、心の想い、心の奥底から発する欲求に共感する観派となるよう心がけています。子どもたちが個々に感じて、表現する行為を螺旋状に繰り返し深めていく子どもに寄り添う子ども主体、子ども中心の保育姿勢です。
この環境の中で育つ子どもは、自分は尊い存在であるという自己肯定感を身に付けます。
子どもたちが不思議だと思う身体的感覚を育むための園庭を整え、自然の中に出かけ、体験を通して五感を揺さぶる活動を大切にします。

保育教諭の基本姿勢

一人として同じ子どもはいません。一人一人の子どもを理解するために、像を描かず、その子どもにしっかりと寄り添い、その子の感じること、望んでいること、物事の捉え方などを理解するよう努めています。そのためには、子どもはこうあって欲しいという子ども像(*像派)を描かずに、子どもたち一人ひとりに寄り添い共感する観派*となるよう心がけています。
子ども一人一人を肯定的に深く理解する観派な保育姿勢を確かなものにする努力を日々続け、常に、子どもたちの遊び=造形活動の深まりを求めて、どのように助言・支援していくべきか、そのあり方を研究実践します。
子どもたちの遊び=造形活動のプロセスを紐解く研究は、保育資質の向上に繋がります。

観派:子どもの本当の姿に寄り添いながら指導・援助する姿勢(待ちの保育姿勢)
像派:子どもはこうあるべきとの一律的な考えが前提となって、目指す事へ向かって指導・援助する姿勢

保育教諭の基本姿勢

生活 = 遊び = 造形活動

遊ぶ中で獲得する生活習慣

子どもの好奇心と意欲を十分に発揮させるためには、子どもの精神を開放し、すべての面で子どもにまかせる<待ちの保育姿勢>が基本になります。町の保育姿勢で、子どもの特質に沿って、自然に抱かれる環境、豊かなに自然素材が準備された環境を整え、生活=遊び=造形活動の認識のもと、子ども自らが遊びを発見して、拡げ、深め、共に遊ぶ姿に共感して励ましていきます。

自ら発見し、拡げ、深めた主体的な遊びは、友達に語りかけ、共に遊び合い、より創意工夫に満ちた大きな遊びを展開していきます。ともに育ちあい、人間関係を構築する力、社会性を身に着けていきます。
それは、感動を伴って獲得した生活習慣とも言えます。大人が子どもの生活・遊びの捉え方を変えれば、子どもは生活習慣を感動を伴って獲得し、それによって人格の形成のあり方もまた変わっていきます。